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〔12〕 Zhivopisnaia Iaponiia : [0]

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1861年(文久元年)1月にプロイセンが日本との修好通商条約を締結すると、スイスも日本との修好通商条約締結の使節を送る機運が高まった。1861年7月、使節派遣費用の予算が決定すると、1862年5月、スイス連邦議会はアンベールを遣日使節団長に任命した。アンベールは、スイスが日本との和親条約を締結していなかったために、日本と親密なオランダ国の国籍を取得することで代表資格の地位を得た。また彼をはじめとして代表団は誰一人日本語を話せなかったので、アンベールは当時の日本が外国人との<コミュニケーション>に使用していたオランダ語の習得に励み、来日に備えた。1863年(文久3年)4月9日に長崎に到着したアンベール他5名の遣日使節団は、オランダ政府の軍艦で横浜に向かい4月26日に上陸した。彼の来日した頃の日本は、薩摩藩士による英国人リチャードソン殺害の「生麦事件」など幕末の動乱期の最中であり、幕府との条約締結へ至る道は平易ではなかった。この間、アンベールらはオランダ公使館であった長応寺に居住した。本書の挿絵「長応寺前の第三の守衛所」(Humbert, p.[305])の後景にオランダとスイス両国の旗が翻ってことからも長応寺がオランダ総領事館兼駐日スイス大使公館であったことが分かる。また長応寺の別棟には、写真家フェリーチェ・ベアト(Felix Beato,1834-1908)のアトリエもあった。アンベールは、条約締結をめぐる捗らない交渉の合間の余った時間を、幕府の役人の監視下のもとで自由に歩きまわれる地域は限られていたが、江戸周辺を散策しながら日本の国と民衆の研究に注いだ。幕府との交渉は、オランダの仲介と後押しでようやく1864年(元治元年)2月6日に調印となり、スイス連邦政府の総領事館を総善寺に置いた。これが、日本がペリーの来航後に結んだ修好通商条約の8番目にあたる日瑞修好通商条約である。そして約10ヶ月間の日本滞在中に、日本関係資料を集め、帰国後、集めた資料をもとに本書Aime Humber, Le Japon illustre, Paris, 1870(アンベール著・高橋邦太郎訳『幕末日本図絵』雄松堂書店,昭和45年全2巻)をフランスで出版したのである。本書には、彼の目に映る日本の景色や日本の社会の物事、その有様、日々の出来事などが豊富な挿絵を使って書き記されている。挿絵には、アンベール自身が墨でスケッチした作品、彼の目の前で撮られた写真、彼が頻繁に通った店で購入した写真、それを基にして描かれたもの、彫版、彩色画などが用いられた。日本の冠婚葬祭や腹切(切腹)など日本固有の慣習については、十分には、スイスはもとより欧米に紹介されていなかったことは確かであり、また、日本の自然や歴史、政治制度、建造物について、宗教、儀礼、社会の様子、風俗、習慣、慣習、日本の諸工業、長崎、下関、京都、江戸、横浜など、日本の諸地域の風景やそこに住む庶民生活の様子なども、これほど豊富な挿絵によって欧米の人々に分かり易く紹介されたことは、かってなかったと言えるだろう。日本の文化とスイス・ヨーロッパの文化との相違、そして「スイスの風光だけが、日本のこの美しい自然と比較できるのではないかと思った」(Humbert,Tome 1, pp.35-36,高橋上巻27頁以下)と、アンベールは述べる。そして日本と母国スイスの自然の風景との類似を認めながらも、日本の文化の固有性を豊富な事例で説明する。それは、日本の文字の「楷書体」、「行書体」、「草書体」などや文体に「言葉自身にも階級がある」(Humbert, Tome 2, pp.33-34,高橋下巻33頁以下)と捉えていく姿勢に、その一事例を挙げることができるであろう。ここには、当時、日本を訪れた欧米人がそうであったように、比較文化論的な<方法>が認められるといってよいと思われる。彼は、これによって、ケンペル、ツュンベリー、ティチング、シーボルトらが紹介してきた<日本の文化の形>その<有様>を先達の成果をふまえて集約的に広く世界に、そして、これまで以上に分かりやすく、日本の庶民の生活から映し出された文化にも光をあてて紹介したのである。(神奈川大学図書館所蔵貴重書にみる「日欧文化交渉史」展 展示目録 より)

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